回路
拡大図(PDF)はこちら
この回路の特徴は、、
1)Filte回路は一般的な状態変数型で、ひとつの回路からLow Pass、High PassとBand Pass出力が取り出せる回路です。
2)Low Pass出力の後に反転増幅器を設けて、位相を180°ずらして、リニアフェーズ化しています。
3)Balance入力回路はWebsiteのデッドコピー。
4)Phase Shift回路はAll Pass Filterと反転、非反転切替できるバッフアーアンプ。これもデッドコピー。5)RCA入力用バッファー回 路は付け加えたもので、状態変数型フィルターの入力イン ピーダンスを上げるためです。RCA入力とバランス入力の切替は基板上のピン ヘッダーとショートプラグで行います。
回路の特性
リニアフェー ズとは、
左図はこのXoverの周波数特性です。周波数レンジは内部のピンヘッダーとショートプラグでCを0.022uFを一つか二つパラかを切替ます が、パラ=0.044uFとした時のVR変化幅を示しています。
Fc=120Hzと390Hz、0.022uF
シングルならば上記の倍の周波数になります。
位相カーブは120Hzと390Hzそれぞれでひとつしか見えません。すなわちLow Pass出力とHigh pass出力の位相が同じである、ということがリニアフェーズの意味です。
左図はHigh Pass Outと位相反転前の周波数特性です。それぞれの位相が180°ずれています。位相反転を加えることで、上記のリニアフェーズが達成できます。
High PassとLow Passの二つの信号をパワーアンプとスピーカーで鳴らして空間的に合成したものが耳に聞こえるのですが、位相が180°ずれている場合の音響空間的な合成値は左図の青 線の様にディップがでます。音のつながりが不自然に感じます。リニアフェーズ化すると赤線の様にフラットになります。
周波数設定 VRの回路
通 常の状態変数型フィルターの回路は上図(上)の様になっており、カットオフ周波数はFc=1/(2πRC)になります。CとRの接続点は Summing Pointと呼ばれ、電位としては”0”かつ対”0”のインピーダンスは∞として扱います。(オペアンプの基本) この基本にのっとり、下図の回路で上図のカットオフ周波 数を決定付けるRとして読み替える式が示されています。ちょっとめんどくさい式になりますので、シミュレーションで確かめます。
上 図でR=0~20kΩのVR+5.6kΩ、VR=0~20kΩのVR、R1=5.6kΩ、R2=5.6kΩとおいた時の単純なシミュレーションが 左図です。オペアンプの入力抵抗に流れる電流に周波数は比例しますから、縦軸は周波数で対数表現、横軸はVRの位置を示しています。対数表現の周 波数とVR位置が比例関係にあるほうが使いやすいものです。分圧式のほうがよりリニアになることが、この回路の特徴です。蛇足ですが、C2はDC 成分のカット用です。Fcmax.はR2により決まり、FCmin.は
(R1//R2+VR)(R1+R2)/R1で決まります。
Phase Shifter
左図はPhase Shifterの動作を示しています。上の⇔はNormalでの調整範囲、下の⇔はReverseでの調整範囲です。All Pass Filter のFcは
31.83Hz~191.0Hzで、Normalは+90°、
Reverseは-90°でFcと一致します。
Xoverの電源部はこち らをご覧ください。
Phase Shifterの電源部はこちらをご覧ください。
XOVERは<C>、Phase Shifterは<B>です。
このXoverを製作する時、ステレオ2chを左右独立に操作するなら、特別なパーツは必要ありません。私は左右連動にしましたので、周波数設 定ボリュームに4連が必要になります。
4 連ボリュームの製作はこちらをご覧ください。
Linear PhaseとPhase Shifterの矛盾
前述した様に、Linear Phaseは音響的合成におけるディップを無くそうとしたものですが、Wooferの位相を変えると音が変わる、よくなる、低音の出方がいいなど諸説があります。それに興 味を持ち製作したものです。もし、心地によい低音がPhase Shifterで作り出せるとしたら、Linear Phaseが必要ないということになります。少なくともPhase Shifter回路を付けてみるならば、Filter回路後の位相反転アンプは必要ありません。
もう少し蛇足です。Tripathのチップを使ったデジタルアンプもこのWebSiteで紹介していますが、このチップは一般的なアンプとは違 い、逆相のアンプなのです。このデジタルアンプをWoofer用として使うならば、そもそも、Xoverに位相反転アンプは必要無かったというこ とになります。