基本的な仕様

panel 左図はパネルデザインです。BASSは一般的なトーンコントロールの特性ですが、低域のカーブとして、PeakとSHELFが内部ピンヘッダーの ショートプラグにて切替が可能です。TREBLEも一般的な特性です。
MID-LOとMID-HIのみがいわゆるパラメトリックになっており、それぞれ周波数(F)と急峻度(Q)が可変になっています。
全体のレベルを±12dB調整できるVR、イコライザー機能をバイパスするスイッチおよび回路上の各オペアンプステージが過大入力でクリップする とPEAKインディケーターのLEDがパネル面に設けられていま BASSTREBLEす。
出力はRCAピンジャックとバランス出力が可能になっています。

左図は『BASSとTREBLE』の周波数特性のシミュレーションです。BASS側の特性でPEAKとShelfの差が見えます。低音を増強しようとすると、Shelfは ブーミーになりがちなので、通常はPEAKに設定しています。





MIDLO

左図は『MID-LO』の周波数特性のシミュレーションです。周波数(F)の変化巾は120Hz~3kHz、Qの変化も表示されています。







MIDHI
左図は『MID-HI』の周波数特性にシミュレーションです。周波数(F)の変化巾は350Hz~10kHzです。
周波数特性の図はシミュレーションに依っていますが、実機で確認済みです。ただ単に同じ図上で何本もグラフを書くのができず、Siteで公開する にはくどすぎるとおみましたので。







回路の説明

paraEQ













上図はこのPARAMETRICイコライザーのブロック図です。詳 細図(pdf)はこちら

paraEQsub1
左図はこのイコライザー回路の基本部分で、VRで”Boost-Flat-Cut"の調整します。
この回路の詳しい解説はTI社WebSite『Signal Conditioning: Audio Amplifiers; An Audio Circuit Collection, Part3』に書かれていますので参考にしてください。Zは周波数依存のインピーダンス回路であり、通常はLCRあるいはそれらの組合せの2端子の回路です。『BASS』 の要素では、Simullated InductorとC(PEAK)、Simulated Inductorのみ(Shelf)で構成しました。『TREBLE』の要素ではCとRで構成しました。
『MID-LO』と『MID-HI』の要素では、それぞれ急峻度(Q)と周波数(F)が独立に変化させることができる、T型フィルターを採用した アクティブフィルターベースSimulated inductorのインピーダンス回路で構成しました。この回路はUS製のプロ用オーディオ機器に使 われているものです。

左図はSimulated InductorとC2の直列インピーダンス回路です。L、F、Qの式が図中に示してあります。この回路はイコライザーではよく登場します。式で分かるように、QはFの関 数になっており、独立で変化させることはできないのですが、固定のQ、Fで良い場合は重宝な回路です。今回の製作では『BASS』で使いました。 QとFを独立に調整できないのでパラメトリックEQ部分の『MID-LO』と『MID-HI』には不向きです。






『MID-LO』と『MID-HI』のインピーダンス回路

Filter Detail

上図は『MID-LO』と『MID-HI』の部分をシミュレーションする回路です。
Fig.1は基本のFilter回路であり、中心周波数がF=1/(2π√(R1*R2*C1*C2))で表せるBandPassFilterで す。ピークで40~50dBほどのハイゲインです。この出力をゲイン1の反転アンプを通し、ハイゲインフィルターにフィードバックさせます。この フィードバック量は”Q"とう名のVRでゲイン調整が可能です。

Filter Basic
下図はFilter部分の周波数特性です。一般的なオペアンプ回路のフィードバックに特性の変化である、”フィードバックを多くかけるとゲインは 下がり、帯域が拡がる”という特性を利用しているようです。”Q”というフィードバック調整VRで周波数特性上のすそ野の拡がりを変えることがで きます。







OpenFoutNormalFout

上左図はフィードバック回路を設けQを可変にした時の周波数特性です。”Q"VRすなわちフィードバック量で帯域が拡がっていく様子がみえま す。
帯域が大きくなると、ゲインが下がりますが、、フィードバック量に応じたゲイン補正をすることでピークを揃えたのが上右図です。

Normal
左図は通常動作時の、”Q”を変化させた時の各部の周波数特性です。上がフィルター部の出力(上図右と同じ)、2番目がゲイン変化の量、3番目が EQとしての出力、一番下がフィードバックアンプの出力を示しています。 ゲイン変化により山のピークが揃って行く様子が見えます。

シミュレー ション上の注意点
フィルター部の特性を見る時は、PとSをショートし、BとEをオープンし、かつBをアースさせます。
通常動作時を見る時は、PとSをオープンし、BとEをショートさせ、アースから浮かせます。上記にシミュレーション回路は通常動作時を示していま す。

製作上の注意 点
この回路の周波数は比較的簡単に計算で求められますが、Qについては山の形やQとゲインの揃え方などをシミュレーションでみらがら決定するほうが いいと思います。理論的な方法を解説している文献などがあればありがたいとは思っていますが。





製作

EQ from top

EQfront








上はパネル面です。
左は上から見た全景で、右の基板は2段になっています。上段メインの信号系、下段には『MID-LO』と『MID-HI』のFilterの回路に なっており、各VRは基板に直接搭載しています。左下は電源部で、これも基板は2段になっており、下段はAC/DCコンバータ、上段に24VDC の安定化回路とバーチャルグランドの回路で、±12Vを各基板に供給しています。左上はEQバイパス用のリレー基板です。

EQside1

EQside2









左は電源側から見たサイドビュー、右はEQバイパスリレーから見たサイドビューです。基板類が2段になっていることが分かります。
電源部はこちらの<D>をご 覧ください。


このPARAMETRIC EQUALIZERをステレオ2chで作る時、左右独立に調整できるように考えるなら、特殊なパーツは必要ありません。
私の製作では、左右を連動させていますので、周波数設定ボリュームは4連が必要なります。
4 連ボリュームの製作はこちらをご覧ください。