コンセプト

GAMP_SYSTEM


 






1)1系統のギター入力 PIEZOピックアップ付きのエレアコとマグネティックピックアップ付きのエレキの両方が入力できるようにする。 持っているYAMAHAのフォークギターにPIEZOピックアップが内蔵されていました。ギターにはトーンコントロールの機能はないのでこれも付ける。 エレキ用にはローカットフィルターも必要。今はアコギのみを対象とするけど、ディストーション、コンプレッサーやリミッターなど のエフェクターも付けられるようにしておく。

2)2系統のマイク入力 ボーカルと生ギターなどを考えると最低限、2系統のマイク入力が必要。ほとんど使った記憶の無い、    40 年以上前のLUXKIT EM11 マイクミキサーなるものを流用する。

3)ミキサー 上記のミキサーとして、将来エレキベースなども取り込みたいので予備入力(ステレオ)X2系統を準備しておく。


マイクミキサー(LUXKIT EM11)のレストア

40年以上前に製作したものの、ほとんど使用せずお蔵入りし ていました。当時カラオケがポピュラーだったかどうか分かりません が、ステレオの音源にマイク2本を乗せる、ということがこれのコンセプトのようです。

EM11 Fig.1はマイクミキサーEM11のブロック図です。ところが、永年の放置で動作しません。出力がほとんど出ないのです。EM11のレストアから 始めることになりました。マイク入力に10mV程度の正弦波を入れて、各段の出力波形を観測したところ、マイクアンプ部 分はOK、ミキサーの出力は出ない。LINE入力に100mV程度の正弦波を入れ、ミキサー出力とLINE OUTを観測したところ、いずれも両チャンネルともにNG。

ミキサー、出力バッファーともにディスクリートアンプです。日立製の2SC1345/2SA836が使われていました。ネットで検索してみた ら、この2SC1345は古いアンプにはよく使われており、ローノイズの定評ある石でした。TO-92以前の四角のパッケージで す。どうも この石には寿命があるらしく、2SC1345は30年以上経つとhfeが著しく低下してしまうというこ とです。 2SC1345/2SA836を2SC970/2SA2240にすべ て交換しました。これで解決です。



デザイン

GMBLOCK Fig.2は設計したギター・ミキサーのブロック図です。全 回路図(PDF)はこちら
1)ギター入力はPIEZOかMAGかいずれか一つでジャックの抜き差しで切り替える。
  MAGの入力インピーダンスは68KΩ、PIEZOは10MΩ。
  MAG入力のゲインは基板上の半固定Rで可変、ローカットフィルター(20~200Hz)はパネルのVRで可変。入切スイッチはな
  し。
  PIEZO入力のゲインは1。
  ギター出力に外付けでエフェクター入出力端子を用意。
  ギター回路出力に『PAN』回路を設け、音源の定位を可変とした。これ以降の回路はステレオ2chになる。
2)トーンコントロールはギターアンプ特有のスタック型ではなく、オペアンプとLC回路によるもの。(なんというのか分からな
  い)このLの部分はオペアンプによるSimulated Inductor回路で構成。

左図はTone Control回路の基本形です。Zはインピーダンス回路です。Zに直列LRC、LRまたはCRを挿入して希望する周波数特性を得ます。

右図はZを構成するSimulated Inducter回路です。

Zの周 波数は一般的なオーディオ用の設定ではなく、ギターの音域に合わせて低めに設定
   しました。BASS、MID、TREBLEの3回路を設け、それぞれ±12dBの可変範囲です。周波数の中心は450Hz程度です。(一
     般的なオーディオ用では800Hz位。)
3) ミキサーはステレオ2ch。ギター入力の他に将来の増設用として2Xステレオ2chの入力を設けました。
4) 各ステージのゲイン配分は難しかったポイントの一つです。上記ブロック図に各ステージのゲインを記入してあります。
    全体的には、前段でクリップしないようゲインは低めに設定しました。ゲイン不足を感じた時には出力バッファーアンプで
    ゲインをかせぐことにしました。(とりあえずG=1にしておいた)  もう一つ難しかったのは、入力感度です。弾き方や楽器の
    メーカーなどによるさが大きいのか、ピックアップの出力を定義したものはほとんど探し出せませんでした。持っていフォー
    クギターをオシロの10MΩのプローブに接続して弾き方を変えなが ら波形観測をしてみました。大体100~200mV程度でし
    た。これはPIEZOのピックアップです。MAGピックアップは30~50mVであろうと仮定しました。
5) LINE入力とLINE出力は同位相になるよう、Mixerと出力バッファーはいずれも反転アンプで構成しました。
4) 電源部は別途紹介した『高 性能正負電源』を使用しました。



製作

弁当箱スタイルのケースの上面パネルが左、ケース内部が右です。化粧板はエーワンのステッカーで作りました。ケース内部はシールド線が多く、そのアース処理のためにプリン ト板周囲は2mmの錫メッキ線で囲ってあります。シールド線のアースはこの錫メッキ線に直付けしました。また、製作後にプリント板の半田面が チェックできるよ うにプリント板への配線アクセスは片側(写真の上側)から行っています。


左は入力フィルター(赤は20Hz設定、青が200Hz設定)右はトーンコントロールの実測特性です。設計値通りであることが確認できました。




作ってみて

まだ、コンサート開催には至っていませんが。ギターの練習を兼ねて鳴らしてみました。PIEZOピックアップの場合は、ノイズの心配もありました が、10MΩのハイインピーダンスで受けたことは正解のようです。生よりいい音がします。今回、マイク・ミキサーとの併用でコストダウンを図り ましたが、二つのマスターボリュームが存在してしまいます。つなぎ方によりどちらもマスターにはなり得ますが、2×マイク+1×ギターならば、マ スターボリュームはマイク・ミキサーにしたほうがかっこいいです。(使いやすいということ)ただ、さらにベースギターなど足そうとすると、本器に 接続することになり、ギターとベースは本器側でMixingしなければならず、やや面倒です。電気知識のないプレーヤーに説明することが難しそう です。お金をかければいいのでしょうが。分かっていたことですが反省といえば反省です。



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